『Surf Club』のロゴをつくってくれたのはナントあの人!

“もっとも影響力のあるデザイナー30人”にも選出。

サーファー、デヴィッド・カーソン

Photo: Courtesy of David Carson Text: Junji Uchida

最近はカリフォルニア・マンハッタンビーチを拠点にしている模様のデヴィッド。サーフボードのペイントのセンスはさすがです。

『Surf Club』 のロゴデザインは、これまでのお付き合いもあってデヴィッド・カーソンにお願いしました。

オールドスクールのサーファーなら記憶にありませんか? デヴィッドはグラフィックデザイナーとして活動をはじめた初期の頃、アメリカの『サーファーマガジン』や『ビーチカルチャー』といった雑誌のアートディレクターを務めていました。カーソン節とも言うべき個性的な世界観の作風が目に止まり、やがて『RAY GUN』のクリエイティブ・ディレクターに抜擢。そこからカーソン物語が始まります。

『サーファーマガジン』時代の作品。表紙だけでなく特集も、それまでのオーセンティックなレイアウトがガラリと変わりインパクトがありました。表紙に入ってしまうバーコードがデヴィット的には相当なNG要素だとか。
〈左〉アートディレクターを務めたストリートビーチカルチャーマガジン『BEACH CULTURE』(1994年)〈右〉オルタナティブ・ロックンロールマガジン『RAY GUN』(1995年)。このあたりからブレイクの兆しが。ちなみにキース・リチャーズを表紙に起用したこの号がいちばん売れたという話。
〈左〉サーフカルチャーを芸術としてクローズアップした書籍『SURF CULTURE』〈右〉木材や金属のキャンバスにパーフェクトなロングウェイブを描写するウルフギャング・ブロックの作品集『THE COLORS OF COINCIDENCE』のクリエイティブにも参画。

 

ちなみに、もともとはプロサーファーで、70年代にはハワイ・サンセットで開催された“スミノフ・プロ・アマ”に、カリフォルニアから2人招聘された選手のひとりとして参戦。インフィニティ・サーフボードからはシグネチャーボードも出ていました。ただ、あまり攻撃的な方ではなく、コンテスト以上にフリーサーフィンに全力を注ぎたいと思うようになり、コンペティションシーンから徐々に遠ざかっていきました。いちばん影響を受けたサーファーはミッキー・ドーラ。トム・カレンのスタイルや、今は無きアンディ・アイアンズや弟のブルースも好きなサーファーに挙げています。

26歳までは“グラフィックデザイン”という言葉すら聞いたことがなかったなく、初めての画材も薄汚れたトレイと着色剤、それに2枚の写真だけ。なんてことの無い写真をモチーフにするのが作風でもありますが、そこにルーツがあるのかも知れません。

〈左〉KATINの広告にも登場。1973年のアメリカ西海岸サーフィン協会のプロ部門でランキング9位。〈右〉インフィニティ・サーフボードのシグネチャーボードに使用されたロゴマーク。
『サーファーマガジン』のアートディレクターだった1994年当時のオフィス風景。

 

『RAY GUN』に関わってからというもの、名だたるグローバル企業の広告デザイナーとして引っ張りダコに。本人は、趣味の延長で生計を立てていると笑いますが、マイクロソフトやボーイング、アルマーニにBOSEにPEPSIにNIKEなど、数え切れないほどの企業でクリエイティブ・ディレクターを歴任。やがて、ハーバード・ビジネススクールをはじめとするさまざまなアートやグラフィックデザインのワークショップで講演するようになり、グラフィックデザインやタイポグラフィの巨匠として名を馳せて行きました。

グローバル企業の広告キャンペーンにも多数参加。〈左〉ハイエンド・ヘッドフォンブランドとしておなじみのBOSE。〈右〉PEPSI。WETSUITSやTAKE OFFなど、ところどころにサーフィンワードも。
〈左〉ファッションブランドの広告にも造詣が深い。エンポリオ・アルマーニ。〈右〉先鋭的な日本企業からもオファーがちらほら。こちらはロフト。
〈左〉オバマ元大統領のCHANGEキャンペーン(2009年)。〈右〉ハーバード大学デザイン大学院ポスター(2015年)。

 

『Surf Club』第1号の巻末特集、“北極光”を撮影したクリス・バーカード同様、学術やエンターテインメント、デザインなどさまざまな分野の権威が世界に向けてプレゼンするTEDカンファレンスにも登壇。米デザインミュージアムは「もっとも影響力のあるデザイナー30人」のひとりにデヴィッドを選びました。30人にはサグラダ・ファミリアの建築家アントニ・ガウディや、東京五輪会場・新国立競技場コンペで勝ったものの却下になったザハ・ハディッド、ラウンジチェアで有名なチャールズ&レイ・イームズ、アップル製品のデザイナーのジョナサン・アイヴなどが名を連ねます。

アップルも創業30周年記念の際に、“30年史のなかでもっとも影響力のあるマックユーザー人”に選出。AIGA(米国グラフィック・デザイナー団体)の2014年アワードでは金メダルも受賞しています。

創業30周年の際にアップルは、“30年史のなかでもっとも影響力のあるマックユーザー”のひとりにデヴィットを挙げた
〈左〉TEDカンファレンスに登壇。テーマは「デザイン+発見」(2004年)。〈右〉米国グラフィックデザイン団体AIGAのアワードで金メダルを獲得(2014年)。

 

いまはFortune100(グローバル企業番付TOP100)にランクインするようなクライアント企業と気に入った仕事だけをやりながら、サーフィンのある暮らしをエンジョイ。『What Youth』や『Monster Children』、『Surfing Portugal』など、サーフィンに関わる雑誌のアートディレクションも楽しんでいます。

居住拠点のひとつ、カリブ海バージン諸島に浮かぶトルトラ島のビーチフロントの家の前はお気に入りのポイント。最高のレギュラーがブレイク。
〈左〉アメリカの若い世代に支持されているサーフィン&カルチャーメディア『What Youth』にゲストデザイナーとして参加。〈右〉アートディレクターを務める『Surfing Portugal』。写真はケリーのウェイブプール特集。
クイックシルバーのアートディレクションを担っていた時期も。〈左〉上:WCTフランスのコンテストサイト、下:親交のあるケリー・スレーターと。ビアリッツ・フランス。〈右〉史上最高の優勝賞金100万ドルで話題になったNYCイベントのグラフィックデザインもデイヴィッドが手がけた。

 

「『Surf Club』のロゴ制作も楽しかったよ!」とも言ってくれており、ゲストデザイナーとして何かやりたいということなので、近いうちにコラボしたいと思っています。お楽しみに!

おまけ:『Surf Club』がかつてデヴィッドに制作をお願いしたウェブサイト『SURFSHED』のロゴ。大人の事情により残念ながら志半ばでローンチを断念。。。

デヴィッド・カーソンのウェブサイトはこちら!また、インスタは:@davidcarson