【ウェーブプール】テキサス・BSR利用者、寄生虫感染により死亡。感染ルートにBSRの可能性。

脳を食べる病原性アメーバによる汚染を調査、BSRは自主的に閉鎖。

BSRサーフリゾート
BSRサーフリゾート

アメリカ『ウェーコ・トリビューン・ヘラルド』紙は、テキサスのウェーブプール〈BSRサーフリゾート〉を利用したファブリジオ・スタビルさん(29歳・ニュージャージー州)が利用後まもなく死亡、“フォーラーネグレリア”という病原性寄生虫に汚染された水が鼻から侵入し、原発性アメーバ性髄膜脳炎が発症したことが死因であると報じた。アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、BSRが感染ルートの可能性があるとして調査。BSRも協力し、結果が出るまで自主的に閉鎖しているという。

BSRサーフリゾートはご存知のように、ケリー・スレーターの〈サーフランチ〉と双璧を成す最新鋭のウェーブプール。〈アメリカン・ウェーブ・マシン〉の造波システムが導入されており、波質はより海の波に近いという。2020年のオリンピックに向けてアメリカチームが練習に利用しているほか、最近では豪メディア『スタブ』が〈スタブ・ハイ〉というエアーイベント開催して話題となった。

 

フォーラーネグレリアとはどんな寄生虫なのか。『ナショナルジオグラフィック』誌の記事、「脳を食べる病原性アメーバ、鼻から侵入」は以下のように説明している。

フォーラーネグレリアは脳を食べる病原性アメーバとして知られ、通常は温かい湖や池の堆積層でバクテリアを食べて生きている。温かい淡水中や、塩素があまり施されていない場所に生息しており、温暖な気候の州で採取した淡水から見つかることは珍しくない。

糸のような構造の鞭毛(べんもう)で素早く動き回り、より好ましい環境に行くことが可能。夏場、人間が温かい淡水に入って泳いでいると、フォーラーネグレリアに汚染された水が鼻から入り、脳に達することがある。

その結果、頭痛、首のコリ、嘔吐などが起こり、その後さらに深刻な症状に発展。アメーバにさらされ発症すると、通常は昏睡状態に陥って5日ほどで死に至る。

管理の行き届いた、適切に処理された水泳プールに汚染が見つかった例はなく、ろ過や塩素処理、その他の消毒を実施すれば、汚染リスクを低減または除去できる。

引用:ナショナルジオグラフィック

1962年〜2017年のアメリカでの感染者は143人。そのうち生存者は4人のみ。2008年〜2017年には34人が感染し、感染ルートはレクリエーション用水30人、汚染水道水による鼻洗浄3人、汚染水道水使用玩具1人だった。

ウェーコ・マクレナン郡公衆衛生区のスポークスマン、ケリー・クライン氏は、マクレナン郡でスタビルさんの死因である原発性アメーバ性髄膜脳炎が確認されたことはないという。テキサス州で確認されたのは2016年が最後で、非常に稀なケースだそうだ。

ウィキペディアによると、日本での感染事例は2011年までの時点で1例のみ。1996年11月に、佐賀県鳥栖市で当時25歳だった女性が発症し、7日目に意識混濁、9日目に死亡。感染経路は不明で、死亡後の病理解剖では、脳が半球の形状を保てないほど軟化していたという。

日本の水道水は塩素処理されているため、フォーラーネグレリアに汚染されていることはほぼ無いそうだ。

「BSRはお客様の安全を大切にし、亡くなられたファブリジオ・スタビルさんの死亡調査に対して、CDCおよび現地保健所からの要請に引き続き従います」とBSRケーブルパークのオーナー、ステュアート・E・パーソンズ氏。

「わたしたちの心と祈りは、スタビルさんのご家族や友人、ニュージャージーのサーフコミュニティとひとつです。

BSRサーフリゾートは最新の状態で運用しています。フォーラーネグレリアに関するCDCのガイドラインと勧告に従い、CDCのテスト結果が出るまで自発的に閉鎖いたします」

亡くなったスタビルさんは、サーフィンやスノーボード、釣りが好きだったアウトドア愛好家。故人の家族は人々に花ではなく、フォーラーネグレリアへの意識を高めることを目的とするSwim Above Water( 水泳アメーバ・アウェアネス財団)への寄付を望んでいるという。