【ISA】日本最強! 金メダル。国別チーム戦結果は右肩上がり〈世界サーフィン選手権〉

日本、金メダル! 国別チーム戦・ ISA世界サーフィン選手権

2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-表彰台
ホームの日本で歴史的勝利を遂げた波乗りジャパン。Photo: ISA / Ben Reed

Text: Junji Uchida

 

まさかこんな日が来ようとは!

42カ国・197人の選手が参加した2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権。その国別チームポイント部門で日本がランキング1位、金メダル獲得の快挙を達成! 筆者は千葉で世界アマが開催された1990年からサーフィンメディアの世界に関わってきましたけど、まさかアメリカやオーストラリアを押さえて日本が頂点に立つとは・・・。

まず、ISAがメディア向けに提供してるフッテージがナイスだったので、大会初日から4日目までの映像を編集してみました。つなげてみると結構良いです。残念ながら日本人女子のライディングがなく、網羅できていませんが、ぜひご覧ください。

 

 

さて、表彰台に上ったのは以下の4カ国です。

【国別チームポイント順位】
金:日本(3368点)
銀:オーストラリア(3093点)
銅:アメリカ(3000点)
4位:南アフリカ(2703点)
 

 

ちなみにチームポイントとは、各選手の個人成績に対して金メダル1000点、銀メダル860点という具合に付与された点数を合算したもの。

波乗りジャパンの各選手の成績&獲得ポイントは・・・

【日本チーム各選手のポイント】
五十嵐カノア(男子 銀):860点
村上 舜(男子4位):670点
大原洋人(男子9位):500点
黒川日菜子(女子11位):475点
橋本 恋(女子13位):450点
川合美乃里(女子16位):413点
トータル:3368点
 

2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-五十嵐カノア
圧倒的なサーフィンで銀メダルを獲得、日本チームの金に貢献した五十嵐カノア。Photo: ISA / Sean Evans
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-村上舜
バレルライドからレールワークを駆使したトップアプローチまで冴え渡っていた村上舜。Photo: ISA / Sean Evans
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-大原洋人
メダルは逃したものの、伸びやかかつ鋭いサーフィンでオーディエンスを魅了した大原洋人。Photo: ISA / Sean Evans
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-黒川日菜子
前半のハードなコンディションをパワフルなサーフィンで勝ち抜き、波乗りジャパン女子の最高位をマークした黒川日菜子。Photo: ISA / Sean Evans
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-橋本恋
攻めの姿勢でラウンドアップを重ね続けた橋本恋。Photo: ISA / Ben Reed
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-川合美乃里
リパチャージからの挽回劇で強さを証明した川合美乃里。Photo: ISA / Ben Reed

 

6人の総合ポイントだから、誰かが突出したスコアを出してもチーム全体の穴を埋めきれないわけで。女子で優勝したサリー・フィッツギボンズ率いるオーストラリアも銀メダル。男子優勝のサンチアゴ・ムニーツがいるアルゼンチンも8位留まり。

日本の各選手の成績が総合的に良かったのは、個々の選手やスタッフたち波乗りジャパンのコアの実力もあるけど、現地に駆けつけた、あるいはウェブキャストやSNSを通じて応援したファンが波乗りジャパン全体としての結束力を強め、選手たちの限界を引き上げたことも要因。“One for All, All for One”のAllはイコール、日本のサーフィンファンも含めてのAllという気がします。

2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-五十嵐カノア
リーダーのカノアと選手&スタッフチーム、さらにたくさんのファンすべてがひとつになってこその波乗りジャパン。Photo: ISA / Sean Evans
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-波乗りジャパン
各選手が出陣するたびに円陣を組んで士気を高める。Photo: ISA / Ben Reed

 

ちょっと前、ブラジリアン・ストームに続くムーブメントとして“ジャパニーズ・タイフーン”というワードが世界のサーフメディアで踊ってた時期がありました。今回の世界選手権で、波乗りジャパンの勢力を再認識させたのでは。ライブ配信のMCを務めたクリス・コーテも、日本の選手が波をキャッチするたびにトークがノリノリだったから、その熱が世界に伝わったことでしょう。

 

右肩上がりにランクアップしてきた波乗りジャパン

日本がISAに加盟したのは1984年。当時は世界アマという1つのカテゴリーで運営されていました。その後、いろいろ改変されて、2009年からは大きく分けて今回の世界選手権(ワールドサーフィンゲームス)と世界ジュニアに二分。2009年以降数年はロングボードクラスもあったりと、現在の世界選手権と多少違いはありますが、これまでの日本チームのランキング推移をまとめてみました。

2018 ISA世界サーフィン選手権 - チームランキング推移
2018 ISA世界サーフィン選手権 – チームランキング推移。©Surf Club

もう、明らかに右肩上がりです。スマホの方、表が小さくてスミマセン。右肩上がり感を伝えたかったもので。

今回の世界選手権は、南北両アメリカの選手にとっては特別なもの。それは、東京オリンピック出場選考イベントのひとつ、ペルーのリマで開催される2019年のパンアメリカン競技大会の出場権を得られるから。男子金のアルゼンチン代表サンチアゴ・ムニーツや、5位のアメリカ代表ケビン・シュルツ、女子銅のアメリカ代表サマー・メセドたちは、パンナム大会の出場枠を獲得。男子銀のペルー代表ルッカ・メシナスはホスト国枠をゲットしました。

2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-サンチアゴ・ムニーツ
2011年の世界選手権の覇者サンチアゴ・ムニーツ。パンアメリカン競技大会の出場枠も獲得。Photo: ISA / Ben Reed
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-サリー・フィッツギボンズ
CTさながらのファイナリストでの優勝争いのなか、9点台2本を叩き出して勝利したサリーフィッツ。Photo: ISA / Ben Reed

 

2019年、2020年の世界選手権は、東京オリンピック出場選考イベントなので、各国とも今回以上に力を入れてくるはず。そこでもジャパニーズ・タイフーンを巻き起こしてくれることに期待です。

 

コンテストアリーナとしての質の高さを伝播

2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-ロングビーチの波
ロングビーチの肉厚バレルはトップサーファーにとって格好のステージに。ペドロ・ヘンリケ。Photo: ISA / Sean Evans
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権-日本金メダル-ロングビーチの波
岩がある分サンドバーが安定していたのか、形の良さはレフトの上だった。Photo: ISA / Sean Evans

もうひとつ世界に知らしめたのが、ロングビーチのコンテストアリーナとしての質の高さ。カノアも言ってましたけど、初日&2日目のブレイクはワールドクラス。素人にはただのダンパーっぽい感じですが(笑)。4〜6ftレンジのバレル&エンドセクションの爆裂は、オーディエンスを魅了する最高の舞台でした。3日目、4日目はサイズこそ下がったものの、ビーチブレイクでの大会としてはコンディション十分。

2020年の東京オリンピック会場、志田下も、グランドスウェルが入れば極上のステージになること必至。サーフィンの五輪デビューという歴史的イベントに台風スウェルが届き、そこで波乗りジャパンが金を獲る最高のシナリオに期待したいところ。これからも選手たちとひとつになって応援していきましょう。

がんばれニッポン!

 

 RESULTS
2018アーバンリサーチISA世界サーフィン選手権

日時:2018年9月15〜9月22日 
場所:愛知県田原市ロングビーチ

【オープン男子】
金:サンチアゴ・ムニーツ(アルゼンチン)
銀:五十嵐カノア(日本)
銅:ルッカ・メシナス
4位:村上 舜(日本)
9位:大原洋人(日本)
【オープン女子】
金:サリー・フィッツギボンズ(オーストラリア)
銀:ペイジ・ハレブ(ニュージーランド)
銅:ビアンカ・ビテンダッグ(南アフリカ)
4位:サマー・マセド(アメリカ)
11位:黒川日菜子(日本)
13位:橋本 恋(日本)
16位:川合美乃里(日本)
【アロハカップ】
金:スペイン
銀:日本
銅:コスタリカ
4位:アメリカ
【国別チーム順位】
金:日本
銀:オーストラリア
銅:アメリカ
4位:南アフリカ