発表!2018年WSL-XXLアワード。
Text: Marcus Sanders
18回目を迎えるビッグウェイブアワードが昨夜、カリフォルニア・サンタモニカのレッドブル本社で開催され、栄誉ある各賞が発表された(ロドリゴ・コクサの80フィートのギネス記録は、その波と同じくらい物語がいいので、後半で紹介したい)。
ノミネートのなかでイアン・ウォルシュの1本が最優秀ライディング賞に選ばれたのは当然だ。もはや、すべての候補が出揃う前に決まってしまったといっても過言ではない。カイ・レニーのネルスコットでのライディングをはじめ、ライアン・ヒップウッドのジョーズ、ロス・クラーク・ジョーンズおよびセバスチャン・ストゥードゥナーのナザレの計4本はいずれも獲得ならず。ウォルシュの1本は、レッドブル本社の親密な授与式の枠を超え、タイムレスに語り継がれていくだろう(ちなみに授与式は例年よりかなり縮小化されていた。アナハイム・グローブ賞は割愛され、ウェブキャストも廃止。金曜の夜の洒落たディナーもなし。準有名バンドがライブ演奏する、ダラダラしたアフターパーティもない。が、スピーチはしっかり健在。みんな、そのために授与式にいた)。
「あの波をつかみ、乗り終えたことで評価されたわけだけど、これはいままでのぼくの人生のいいサーフィン、悪いサーフィンをつないだもの。一瞬にしてすべてがつながったんだ」とウォルシュ。「その波を捕らえたという以上に、その波に捕らえられたように感じる。ぼくらのスポーツ特有の強い仲間意識が実現させてくれた、素晴らしいスナップショット。この波はぼくだけでなく、みんなとユニットでライドしたと思っているんだ」
(当然だが、ウォルシュのライドは最優秀バレル賞にも輝いた。ちなみに、ウォルシュはこの授与式でベストドレッサーだった。その次はナザレ市長。どの場所より多く受賞する授与式を祝うためにやってきていた)
最優秀ワイプアウト賞はアンドリュー・コットンが獲得。60フィートのナザレの爆波で、スピットとともに虫けらのごとく吹っ飛ばされる映像は毎回受賞する。自国イギリスに向けて、大西洋を渡る帰国の旅に着けたことにみんな喜んだが、彼は6ヶ月経ったいまも全快に向けて戦っているようだ。ちなみにコットンを含む壮絶なワイプアウト賞5本をまとめた映像はこちら。
最大パドルウェイブ賞はアーロン・ゴールドが受賞した。1月の13日と14日にそれぞれ1本ずつ乗った波を見れば、この勝利に驚きはしない。彼はいつもどおり、謙虚かつ丁寧なスピーチをしていた。
ここ数年頭角を現してきているブラジルのカリスマ、ルーカス“シャンボ”キアンカが最優秀パフォーマー賞を獲得。これについても、誰も驚かない想定内の受賞だ。全部で20セッションがスコアされた昨シーズン、彼がミスをしたのはわずか1セッションだけ。1月の半ば、マーベリックスとナザレが同時にビッグスウェルが入ったからだ。ちなみにシャンボはマーベリックスを選んだ(そのライドは最大パドルウェイブ賞にノミネートされた)。
「去年ぼくは2位になった。ドアを叩いただけで、壊してはいない」とシャンボ。「今年は最大限の力でトレーニングに挑み、ドアを壊す必要があったんだ」
ペイジ・アルムスの最優秀女性パフォーマー賞の勝利も、安泰と言えるものだった。彼女はスピーチで、WSLの運営について指摘。「1戦だけでワールドタイトルを決めるのも素晴らしい。だけど、わたしたちはもっとイベントが欲しい」
2011年にギャレット・マクナマラがスコアした78フィートを2フィート上回ったロドリゴ・コクサ。この深刻な波をメイクするのとほぼ近い状況に、彼は2014年にも遭遇している。そのときはXXLサイズのセットを喰らい、ほぼ岩へ押し付けられる悲惨な目に遭った。彼は生まれ変わるべくここ数年間じっくり見て学び、トレーニングをして、11月8日のナザレでのザ・デイで勝者となった。
レールを使っちゃうとディープなセクションに到達できない。
ぼくは、ほぼ落下していくようなターンで耐えた。
足がものすごい速度を感じている。
レールを使わずにあんなデカい波をライドしたことは一度もない。
ただまっすぐ降りるだけ。ものすごい体験だった。–ロドリゴ・コクサ
「その日の前夜、ぼくはすごい夢を見たんだ」とコクサ。「ぼくは自分に向かって“まっすぐ降りるんだ。まっすぐ降りるんだ”と語りかけている。その意味がぼくにはわからなかった。そして、誰かが語っているその言葉の意味を考えてみた。波をつかんでロープを放す。そしてレールをショルダーに向ける・・・。そうか、レールを使っちゃうとディープなセクションに到達できないということか。そして“まっすぐに降りるんだ”と自分に記憶させた。それを口にしたとき、夢が思い出せるように。ぼくはほぼ落下していくようなターンで耐えた。足がものすごい速度を感じている。ぼくは過去に、レールを使わずにあんなデカい波をライドしたことは一度もない。ただまっすぐ降りるだけ。ものすごい体験だった」
そのライドはギネスブックに記録される。
注目すべき来シーズンのビッグウェイブツアーは、10月1日からジョーズとナザレ、マーベリックスに焦点が当たりはじめる。「5ヶ月間のウェイティング期間中に、我々はその3ヵ所でコンテストが開催できる自信がある」とツアー理事のマイク・パーソンズ。ツアーには今季ニューカマーのジョジョ・ローパー、ラッセル・ビアケ、ネーザン・フローレンスが加わることが発表されている。
2018年度 WSLビッグウェイブ・アワード受賞者
◉最優秀チューブ賞
イアン・ウォルシュ(34歳・HAW)
2017年10月28日・ジョーズ / マウイ
◉最優秀ワイプアウト賞
アンドリュー・コットン(35歳・UK)
2017年11月8日・ナザレ / ポルトガル
◉最優秀パドル賞
アーロン・ゴールド(36歳・HAW)
2018年1月14日・ジョーズ / マウイ
◉クイックシルバーXXL最大ウェイブ賞
ロドリゴ・コクサ(38歳・BRA)
2017年11月8日・ナザレ / ポルトガル
◉最優秀ライド賞
イアン・ウォルシュ(34歳・HAW)
2017年10月28日・ジョーズ / マウイ
◉女性パフォーマンス賞
1位 ペイジ・アルムス(30歳・HAW)
2位 ジャスティン・デュポン(26歳・FRA)
3位 マヤ・ガベイラ(31歳・BRA)
4位 ケアラ・ケネリー(39歳・HAW)
5位 ビアンカ バレンティ(20歳・USA)
◉男性パフォーマンス賞
1位 ルーカス・キアンカ(22歳・BRA)
2位 カイ・レニー(25歳・HAW)
3位 グラント・ベイカー(44歳・ZAF)
4位 ビリー・ケンパー(28歳・HAW)
5位 イアン・ウォルシュ(34歳・HAW)
6位 ネーザン・フローレンス(23歳・HAW)
7位 ジョジョ・ローパー(27歳・USA)
8位 ジェイミー・ミッチェル(41歳・AUS)