【ウェイブプール】リバーサーフィンにヒントを得たCitywaveが日本上陸。

スポーツジム感覚で通いたい〈スポル品川大井町〉

ドイツ製のCitywaveはこれまで欧州を中心に展開。これがハブステーションの東京・大井町にやってくる! Photo: Courtesy of Citywave©
こちらはスイス・チューリッヒにあるThe Wave Factory。日本にできるCitywaveも屋外だ。Photo: Courtesy of Citywave©

Text: Junji Uchida Reference: Citywave

 

なんかもう、連日のウェイブプール祭りで日本も世界も大忙し。ケリー・スレーターのファウンダーズカップの初日に、シェーン・マグナッソンとかが関わっている〈American Wave Machines〉の空力造波システムを採用した新型ウェイブプール〈BSRサーフゾート〉がアメリカ・テキサス州にでき、セス・モニーツが人工波初のバックフリップをキメ、ジェイミー・オブライアンがいつもの『WHO IS JOB?』系のクリップを拡散。タイラー・ウォーレンの、あいかわらずいい感じのスタイル満載の映像も出回ってます。アメリカのジャーナリスト、マーカス・サンダースからも「日本で〈KS WAVE CO〉の着工が始まったって話を聞いたけど、どうなの? わかったらデカいニュースだからすぐに教えてくれ」とか追い込んでくるし。まぁ、サーフィン人口の底上げにつながるからいいんですけど・・・。

そんなウェイブプール祭りも小休止かと思いきや、日本にウェイブプールができるとの発表が。「え! サーフランチ・ジャパンか?」とびっくりしたものの、違いました。場所は東京品川・大井町(え!)。JR東日本が2020年に向けて高まる五輪熱を取り込む狙いで、2万4000㎡の同社社宅跡地にスポーツ体験施設〈スポル品川大井町〉を設立。ボルダリングやテニスなど13種目の1つにサーフィンを採用し、ウェイブプールによる体験機会を提供するんだそう。

「サーフランチじゃないとすると、造波システムは〈Wave Garden〉か?」・・・違いました。こちら、ドイツ企業が開発した〈Citywave〉というシステムを採用。今年の3月はじめ、ドイツのオスナブリュックにあるファッション&スポーツストア〈L&T〉に登場したあれです。

 

〈Citywave〉が生まれたきっかけはリバーサーフィン。

さて、アイス川のリバーサーフィンをご存知ですか? こちらです。

 

いまでは有名になったドイツ・ミュンヘンの街の中心にあるアイス川でのサーフィン。そのパイオニア、アーサー・パウリが、のちにCitywaveの開発者ライナー・クリマシェウスキを誘って体験したことをきっかけにアイデアが生まれたそう。

ライナーと奥様のスージーは、20年以上にわたってアクションスポーツを模擬体験する施設を開発。2人は80年代のフリースキー欧州&世界のチャンピオンで、大会に出るために世界中を回っていた。最初に開発した施設は、天気や季節に関係なく、1年中スキージャンプを練習できる移動型のウォーターランページ。それを街ナカに持ち込むことで、アクションスポーツが拡がることを確信したそう。その後はスキーヤーではなく滑走面側が回転してエンドレスに滑ることができるスキースロープや、初めての夏季スノーボードイベントに際してホンモノの雪によるクオーターパイプやオモシロパークを創造。水の上をグライドするサーフィンを擬似体験できる滑走面回転式施設〈Drywave〉もその1つだった。が、やはりホンモノの水がないと・・・ということでCitywaveが誕生したのだとか。

下の動画はおそらく上のアイス川と同じタイミングで、ミュンヘンにあるCitywaveを体験したミック・ファニング。1発目がベストライドだけど、だんだん慣れて来るとそれはそれは楽しそう。

 

ン〜、でもこれと同じようなのどっかでみたことありますよね? あ、思い出した! これです。

こちら、ワイメアの半人工サーフランチby〈KS WAVE CO〉・・・失礼しました。

ちなみに、下の動画は2013年のミュンヘン空港に隣接するCitywaveでの映像。シェーン・ベッシェンはCitywaveのUS市場開拓にガッツリ絡んでいる模様。撮影は、ベサニー・ハミルトンをフィーチャーした新作映画『Unstoppable』の監督アーロン・リーバー。

 

ざっくり計算では1時間で8秒ライド✕30本。
既存の海外施設の料金相場は大人6000円、子供5000円程度。

Citywaveはパワーを全開にすると波の高さは最大1.8mになるとか。とはいえ、もちろん調整は可能で、ビギナーからエキスパートまでエンジョイできる。特許取得済みのディープウォーターシステムにより水深が確保されているので、フィンを付けたままのライディングが可能で、ワイプアウトしてもケガする確率は低そうだ。

また、Citywaveには中・大・特大の3サイズがあり、ホームページでは以下のように掲載している。中サイズで波の高さ1.4m、同じく大1.5m、特大1.6m以上。当然ながら大きさに比例して人数や平均ライディング数も増える。

また、この表をベースに1人あたりの1時間に乗れる回数と、1本あたりの秒数を割り出した。許容人数に幅があるので、それぞれ中間値(中11人・大12人。大は15人)で算出した。1本あたりの秒数は単純に1時間(3600秒)を平均ライディング数で割っただけですが・・・。

*Citywaveのウェブサイトをもとに『サーフクラブ』制作。

ざっくりではあるけど、1時間で8秒ライドを30回できる計算に。

さて、利用金額はどうか。まだ発表になっていないので、海外でCity Waveがインストールされている既存の施設3つをリサーチしてまとめてみた。

*Citywaveのウェブサイトをもとに『サーフクラブ』制作。

Jochen Schweizer Arena〉はミュンヘンにあるアドベンチャースポーツセンター。周囲にはナイキの大型リテールストアやイケアなどがあるような場所。ウェブサイトを見る限り、建物はモダン。

L&T〉はオスナブリュックにあるスポーツのあるアーバンライフスタイルを提案するファッションモール。モードとカジュアルにスポーツをブレンド。カテゴリーにはサーフィンのほか、サッカーやテニスも重視。

The Glassy House〉はフランスの空の玄関、パリ・シャルル・ドゴール空港から500kmほど南西のサン・ジル・クロワ・ド・ヴィという海水浴観光の街にあるスポーツ総合施設。クロストレーニングやヨガ、ピラティス、ズンバなどを提供している。

三者三様、都市部や郊外など設置条件は違うが、金額的に相場は45分で大人5000円、子供4000円といったところ。45分としているのは、1時間のうちの15分を着替えや入れ替えなどのバッファーと見ているからか・・・。そこらへんは曖昧ですが、1時間に直すとだいたい大人6000円、子供5000円ぐらいの計算になる。果たしてスポル品川大井町やいかに?

ウェブを見る限りでは、ミック・ファニングは自分のブランドのPRも兼ねているのでソフトトップでもやってますが、アイス川のローカル・エキスパートたちは、ツインフィンで水流に合わせて浮遊感を味わってる感じですね。コリー・ロペスはセンターに小さいのを付けてたりするけど、ベッシェンはツインぽいし。あとは、海ではできないけど、ここならデレク・ハインドのようにフィンレスで遊ぶっていうのもアリかもですね。いずれにしてもレール・トゥ・レールやカットバックの練習になりそうだし、仮に1時間8秒✕30回=240秒乗ったら、それなりに脚に来そうだから、その次の海では調子良さそう。大井町は東京と湘南をつなぐハブステーションだし、通勤圏内のサーファーならジムに通う感覚で行けるしナイスかも知れません。

2万4000㎡におよぶスポル品川大井町のアウトライン図。01にあたる施設がウェイブプールで、屋外というのがナイス。
①屋外ウェイブプール、②屋外ボルダリング、③脱出アトラクション、④屋外バスケットボールコート(3×3コート2面)、⑤屋外フットサルコート(3面)、⑥キッズランド、⑦スラックライン、⑧多目的スタジオ⑨屋内テニスコート(4面)、⑩屋外パデルコート(2面)、⑪ソフトボールバッティング、⑫酸素ルーム、⑬アーチェリー。
5月9日に行われた記者会見ではテニスプレイヤーの伊達公子をはじめとするスペシャルサポーターが登壇。
サーファーを代表してスペシャルサポーターを務める糟谷修自。
やはりスペシャルサポーターとして関わっていく前田マヒナ。

INFORMATION
  • 名称:スポル品川大井町
  • 営業期間:2018年8月11日〜2021年(予定)
  • 営業時間:10:00〜23:00(予定)
    *種目により異なります。
    *一部施設や時期により短縮や延長を検討中。
  • 施設利用料:入場無料。各施設利用は有料で料金は種目により異なります。
  • 利用方法:スパ受付にて「自分がサーフィンしている画像」を提示

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