「ウェイブプール開催はない」とISAフェルナンド・アギーレ会長。
東京オリンピックの日程が発表になったとき、『サーフクラブ』的には「えっ、7月26日〜29日って、サーフィンにとって歴史的なイベントを4日でやっつけるの?」と頭に疑問符。そこで、『サーフライン』のロス・ギャレットとマーカス・サンダースに早速メール。すると、すぐにロスから「興味深いじゃん」と返信。その後しばらくしてマーカスから「いまフェルナンドと話したけど、あれは仮の日程だってよ」と連絡があった。
そして、以下はマーカスからのレポート。
Text: Marcus Sanders
2020年の東京オリンピックが発表になったよね。7月22日〜8月8日の2週間にかけて行われる33競技・339種目・42開催地の予定表がウェブサイトに公開されているんだけど、スケジュールにちょっと疑問が。
「サーフィンの開催期間が、たった4日だけって・・・」
サーフィンは7月26日〜29日にスケジューリングされてて、メダルの授与は29日。オリンピックの開催期間中すべてがウェイティングピリオドだと、内心思ってたのに・・・。
オリンピックに興味のあるぼくは、地球上で2020年の競技について誰よりも知っているISAのフェルナンド・アギーレ会長に電話してみた。フェルナンドが誰かって? 2020年のサーフィン競技のビジョンや運営方法、コミットメントの方向づけをするリーダーのお方です。
まず、その4日間が仮の日程であることが判明。
海でやる競技の難問の1つがこれ。観戦チケットを販売する関係上、開催日程が必要になるんだよね。
ぼくらはグッドスウェルが届けばGOする。ウェイティングピリオドは8月9日まで。
セーリング競技も同様で、風が吹かなければ開催できないんだけど、日程を公表する必要があるんだ。
–フェルナンド・アギーレ
これはいいニュースだ。サーフィンは試合を遂行するのに4日は必要。そして、CTツアーのメンズイベントのように2週間のウェイティング期間を設けるのが基本。いい波でやるためにはね。
でも、その時期の志田下の波はどうなんだろう? そこでサーフライン・波予測チームのチーフ、マーク・ウィリスに電話した。
サーフラインにはこれまで蓄積されてきた膨大なデータベースがある。それをもとにISAから、彼らが開催期間中の過去の歴史的スウェルやコンディションを学べるよう委任されているんだ。
7月24日〜8月9日にかけては、統計的にはすべての要素が可能であることを示しているよ。
千葉のスウェルについては、統計的にはオリンピック期間以降のほうが明らかにいい可能性が高い。8月にかけて台風シーズンのピークに入っていくから。
ただ、2020年を含めて、どの年もそうなるとは限らない。でも、いずれにしても7月24日〜8月9日の期間はコシ以下と、小さい波の状況が続いてるね。
とはいえ、直近の2〜3年はスウェルが豊富。いまは2018年の7月下旬だけど、熱帯低気圧や台風によるスウェルやオフショアなど、志田下のコンディションは期待できる状態だよ。何日かは風が良くない日もありそうだけど、いい波に恵まれそう。
柔軟に対応できるなら、2020年も良いコンデションでの開催を望めるんじゃないかな。
–マーク・ウィリス
そして、さらにいいニュースが。進行の柔軟性についてだ。フェルナンドいわくIOCでも東京都でもなく、ISAが開催のコールを日々実施していくとのこと。朝のオフショアの数時間だけ試合をやって、悪くなったら翌日にやるといった、CTイベントのような進め方にするという話だ。
すべてのスポーツについて同じことが言えるよね。たとえばテニスだって、IOCやホスト都市ではなく国際テニス連盟が運営する。それと同じさ。
–フェルナンド・アギーレ
さらに、注目の渦中にあるウェイブプールでの開催についても再度確かめてみた。ウェイブガーデンとWSLサーフランチが現在、東京でのウェイブプール建設予定があるのは周知のとおり。けれど、フェルナンドは2020年のウェイブプールでの開催を頑なに否定し続けていて、それはいまも変わっていない。
将来的には人口波での開催もあるだろうけどね。ヒート形式を取らないから2日で消化できるし、選手みんながそれぞれの波でスコアが出せる。冬季オリンピックのハーフパイプのようにさ。
でも、海ではヒート形式で進めていくよ。知っての通り、1日のなかで波のコンディションが変わるし、スコアのポテンシャルも変わっていくからね
–フェルナンド・アギーレ
ひとつだけ公表と変わらないことがある。音楽とアート、サーフカルチャーの祭典、オリンピックサーフィン&ビーチフェスティバルは7月26日〜8月2日で日程フィックスだ。
最後に、オリンピックの選考過程についておさらいしておこう。
【出場者数】
- 参加人数はメンズ20名、ウイメンズ20名。計40名。
- 各国とも男女2名まで(状況により3名)。
【競技成績による選出人数・優先順】
- 2019年WSL-CTツアー枠:男子10名、女子8名。
- 2020年ISAワールドゲームス枠:男子4名、女子6名。
- 2019年ISAワールドゲームス枠:男女各4名(アフリカ・アジア・ヨーロッパ・オセアニアの各大陸からの出場者上位から選出)。
- 2019年Pan Americanゲームス枠:男女各1名。
- ホスト国枠:日本から男女各1名。ただしこれは、上記の枠に日本代表選手がいない場合。該当者ないないときのホスト国枠の日本選手は、2020年ISAワールドゲームスの上位ランカーから選出されることが望ましい。
【例外規定】
- 各国の機関により選出された選手はすべて、2019年および2020年のISAワールドゲームスに参加する必要がある。
- IOCのガイドラインでは、選出認定イベントは上記の優先順序にもとづき決定するとし、優先順位の高い階層で男女2名の出場枠を得た場合、国内オリンピック委員会はさらの下層の認定イベントから選出することはできないとしている。
ただし、フェルナンドは代表国数を14カ国と見積もっている模様です。