CTフランス戦の特別イベント〈レッドブル・エアボーン〉リポート
フランスCTのスペシャルイベント〈レッドブル・エアボーン〉がホセゴーのプラージ・デス・クルス・ノースで開催。4フィートレンジのサイドショアの風が入るタフなコンディションのなか、ブラジルのスモールウェイブの奇才、ヤゴ・ドラが優勝。来季からエアーツアーになるという話もあるコンテストで存在感をアピールした。
先日投稿した出場者リストでもおわかりのように、レッドブル・エアボーンはCT選手と、世界屈指のエアリストが共演するエアーの祭典。決勝ラウンドにコマを進めた稀有のエアリストを相手に、22歳のドラが勝利をもぎ取った。
エアーイベントは90年代後半にも開催されていた。アメリカ『サーフィング・マガジン』が〈VANS〉とともに運営していたVANS / SMAS(サーフィング・マガジン・エアー・ショー)を皮切りにブームが到来。SMASのアマチュア版、〈オニール・エアーショー〉や〈クイックシルバー・エアーショー世界選手権〉など、多様なコンテストが実施された。
日本でも開催実績があり、2004年に鴨川マルキで行われたクイックシルバー・エアーショーでは、パーフェクト10を含むライドでジョシュ・カーが優勝している。そのカーがレッドブル・エアボーンのイベントディレクターを務め、来季からレギュラー化する話もあるエアリアルツアーの指揮官とされている。
■前衛的で革新的なアプローチにのみ加点
「スコアリングはかなり厳しい状況が続いたよ」とカー。「しょぼいエアリバースに0.5ポイントをつけながら、ジャッジが求める先鋭的なエアーを求めていたんだ」
「6点台をつけるにおは特別なエアーが必要」とはジャッジを務めたシェイン・べシェン。「普通過ぎるエアーを3点以内に抑えるよう、序盤はスケールを本当に低く設定した。一方で、ビッグセクションやグラブ・テクニックにはハイスコアを与えた。ジャッジたちは公正を保ち続けているし、選手たちも公正にスコアを得ている」
「難しいコンディションだね」と語るのはCTツアールーキーのコラピント。「僕のゴールはいくつかのフルローテションをメイクすることで、そのための良いセクションを見つけること。いつものCTイベント以外の選手と戦うのはクールだね。このエアーイベントの一員になれて光栄だよ」
「スケートコンテストに戻ったような気がしたよ」とは、プロサーファーでありプロスケーターでもあるデイビッド。デイビッドは予選ラウンドで最高点となる5.83ポイントを叩き出した。
■決勝ラウンドは開始5分でヤゴ・ドラがコントロール
決勝ラウンドは予選以上に厳しいコンディションになった。そんななか、ドラは決勝ラウンド開始から5分で、2本のハイエンドなマニューバーをメイク。そして。その後も終始ヒートをコントロールし続けた。最初に見せた、巨大なスロブエアー(前側の手でつま先側のレールをグラブ)は6.67ポイントをスコア。ハイエストポイントは2倍で計算するというルールに基づき、他のアスリートを一気に引き離す。その直後、フォアハンド・ローテーションをフロントサイドグラブで決めてみせた。同じワザではあるけど、つま先側のレールをつかんでいたのは後ろの手だ。
予選ラウンドで最高得点を出したカラニ・デイビッドをはじめ、マット・メオラやイーサン・オズボーンらエアーの革命家たちは、決勝ラウンドのシフティなラインナップで実力を出し切れなかった。
コラピントとフリーストーンだけが、ドラのリードを脅かす位置につけており、パンチーなビーチブレイクに対して大ワザを仕掛けていった。フリーストーンは特大のアリーウープに挑んで見事に成功。スモールモンディションでメイクしたパフォーマンスは5.90ポイントが与えられた。しかし、残念ながらバックアップスコアを得ることができず、3位にとどまった。
コラピントは自らのシグネチャームーブ、フォアハンド・リバース・ノーグラブで応戦。ビーチに向かってアプローチする高難易度の回転ワザは、シングルスコアでハイエストとなる6.77ポイントをマーク。4.73ポイントを出せば逆転という状況だったものの、ドラに勝利を譲る格好になった。
「このイベントの一員になれたこと、そして、優勝できたことはとても光栄」とドラ。「最初のエアボーンで勝てた事実はクールだよ。エアーはサーフィンというスポーツの未来。それだけに、優勝できてすごくうれしい。ジャッジたちは前衛的か、あるいは革命的かだけを審判していた。だから、行くしかない! という姿勢で攻めまくったよ。
ちょっと疲れたな。1時間ヒートは長すぎる(笑)。他の選手がアウトで波待ちしてるあいだ、開始早々インサイドで2本良い波に乗れたのがラッキーだった。グリフィンはハイエストを出していたから、ロースコアを出すだけでひっくり返されてしまうところだった。プライオリティも持ってなかったしさ。自分でできることは何もなく、もう一発キメてやろうと思ってたけど、できなかったよ」
日時:2018年10月8日
場所:フランス・ホセゴー
【決勝ラウンド】
優勝:ヤゴ・ドラ(BRA)18.27pt
2位:グリフィン・コラピント(USA)17.21pt
3位:ジャック・フリーストーン(AUS)15.3pt
4位:カラニ・デイビッド(HAW)5.66pt
5位:マット・メオラ(HAW)5.40pt
6位:イーサン・オズボーン(USA)0.00pt
【予選ラウンド】
1位:カラニ・デイビッド(HAW)16.83pt
2位:グリフィン・コラピント(USA)14.29pt
3位:ヤゴ・ドラ(BRA)13.83pt
4位:マット・メオラHAW)12.46pt
5位:イーサン・オズボーン(USA)12.34pt
6 位:ジャック・フリーストーン(AUS)11.26pt
7位:レオナルド・フィオラバンティ(ITA)9.84pt
8位:ジョーディ・スミス(ZAF)9.80pt
9位:アルビー・レイヤー(HAW)9.76pt
10位:エリック・ガイセルマン(USA)9.60pt
11位:メイソン・ホー(HAW)9.17pt
12位:リーフ・イングストローム(USA)8.63pt
13位:カエル・ウォルシュ(AUS)8.36pt
14位:マキシム・ヒュースノット(FRA)6.20pt