【WSL】2件のサメ被害、それでも続行!?

ガブリエル・メディナは反対を表明・・・
どうなる、マーガレットリバー・プロ。

西オーストラリアの海岸線では2000年以降、死に至った被害が15件、致命的にはならなかったものは41件に上るという。リスキーなのはJベイだけではない。Photo: WSL / GUMBOOT.CAMERA

Text: Junji Uchida

 

ちょっと厄介なことになってきたマーガレットリバー・プロ。

昨日、大会会場マーガレットリバー・メインブレイクから15キロほど離れた、ノースポイントのひとつ南側のグレースタウンという町で2度のシャークアタックが発生。幸い両被害者とも命に別状はない状態で救出されたが、コンテストの再開については議論を呼んでいる。

コンテストのメイン会場、マーガレットリバー・メインブレイクからは多少離れているものの、初日・2日目が開催されたノースポイントの隣のポイントでの出来事。Artwork: ©SurfClub

 

まずは状況を整理したい。シャークアタックが起こったときに偶然、サーフィンフォトグラファーのボスコことピーター・ジョビックが現場に居合わせて、その模様をインスタにアップしているので紹介しよう。

 

 

Usually on this coast, the presence of helicopters and other emergency responders can only mean one thing. Firstly, I want to say that the surfer involved showed incredible courage. The surfers who came to his aid probably just saved a life. After the surfer was knocked off his board, the situation looked really grim. It was like watching Fanning at JBay – but with no one to pull the plug on the broadcast. But a nearby surfer paddled to the aid of the poor bloke who was left floundering in the water, separated from his board. The surfer tried to help push the injured surfer into a wave. The surfer who’d been attacked started swimming and ended up body surfing onto the reef, with the other surfer in the whitewater by his side the whole time. My timeline shows that from the time of attack, to the time a tourniquet was applied took only 2 1/2 minutes. The response by everyone involved was incredibly swift, measured and effective. I wish the injured surfer a speedy recovery. You’re one gutsy fella.

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この海岸線では、ヘリコプターや緊急救急隊が出動する理由は通常ひとつだけだ。まず、救助に関わったサーファーたちのありえない勇気を伝えたい。彼らが来たことで、ひとつの命が救われた。

サーフボードが攻撃されたあとの状況は、ほんとうにひどかった。まるでJベイでのミック・ファニングの再来を見ているようだった。が、誰ひとりとして目の前で起こっていることに対し、手を引こうという動きを見せなかった。サーファーたちはサーフボードから離れたところに横たえる被害者を救助するためバドルアウトしていった。彼らは岸寄りのスープのなかにいたもうひとりのサーファーと共に、被害者がボディサーフィンで帰って来れるよう、波に合わせて押し続けた。

ぼくの記録時間では、シャークアタックの発生から止血帯が施されるまで、わずか2分半だったことを示している。

関わったすべての人の判断はとても迅速で、計算されていたし、効果的だった。被害に遭ったサーファーの早期回復を願う。キミは根性のあるヤツだ。

 

これは1度目のコブルストーンで発生した事故について。状況について詳報されているが、2度目については1行だけキャプションを寄せている。20年あまり期間に対して数10件というシャークアタックに、1日に2度遭遇したのだから、そのショックは相当なものなのだろう。

 

 

NOT AGAIN!! Shark Attack – Lefthanders.

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もう繰り返さないでくれ!! 今度はレフトハンダーズだ。

ABCニュースによると、最初に被害に遭ったのはマーガレットリバーに住む37歳の男性。マーガレットリバー・プロで働くクルーの1人だったそうだ。救急隊員は、救出にあたったサーファーたちがリーシュコードで迅速に止血したことが重要だったと説明。被害者は「岸に上陸するのを助けてくれたすべてレジェンドたちに感謝したい」と短い声明文を発表した。

1度目の被害が出てまもなく、近隣のビーチはすべて一時的に閉鎖された。Photo: ABC News / Gian de Poloni

 

のちに西オーストラリア・ライフセービング・クラブが、4mホオジロザメを確認。近隣のビーチは閉鎖され、専門家たちが状況確認および解決に向けて動き出した。第2の被害場所であるレフトハンダーズも閉鎖区域だった。にもかかわらず、もうひとりサーファーの犠牲者が出てしまった。41歳のデンマーク出身の男性だ。

ぼくに向かってまっすぐ突進してきた。最短コースでボードに歯型を残した。

 

警告が出ていたにもかかわらずサーフィンしていた男性のサーフボード。これが身体だったらひとたまりもないだろう。Photo: ABC News / Gian de Poloni

 

マーガレットリバー・プロが開催される前、ジョンジョン・フローレンスがドローンで2匹のサメを捉えている映像をインスタにアップしている。また、WSLのツイッターには、ラウンド1のジョンジョンのヒートにサメ映っているとのコメントも投稿された。

 

下記のYOUTUBE動画の9:30あたりからフレームの左上側、波のフェイスをじっくり見てみていただきたい。微妙ではあるが、9:34ぐらいから数秒間にわたって何らかの影がジョンジョンの下にかけて動いているようにも見えなくもいない・・・。

 

ガブリエル・メディナは600万人フォロワーを数える自身のインスタでこう記し、4,000件を超えるコメントが投稿されている。

 

今日ぼくらが競技しているコンテスト会場の近くで2回シャークアタックが発生した。まったく安全だと思えないし、トレーニングや競技をしているときに、誰かの身に何かが起こることだってある。ぼくは望んでいない。手遅れにならないうちに、ぼくの意見を聞いて欲しい。

ガブリエル同様、やはりブラジリアンで現在カレントリーダーのイタロ・フェレイラもインスタで反対の意思表示をしている。2人のコメント欄に限らずストップすべきという投稿や、これを機会に来年からは、別の開催地にしたほうがいいというファンの声も少なくない。

 

こうした状況のなか、WSLは声明を発表。ソフィ・ゴールドシュミットCEOはサーファーとスタッフの安全を最優先し、専門家たちと状況解明に乗り出しているあいだはコンテストの再開を見送るとしている。

 

マーガレットリバーがもともとシャークアタックの多い場所であることは既知のことであり、ミック・ファニングがサバイバーとなったJベイ・イベントも、その後も続行している。ただ、現状マーガレットリバーでは、2人の被害者を襲ったホオジロザメは捕獲されておらず、WSLが知見を委ねる有識者の見解も未明のままだ。WSLは随時、最新情報を更新していくとの声明も出している。

さまざまな外形的事実を判断材料に、選手の安全を最優先に道筋を立てるとするWSL。ファンやスポンサーの州政府観光局などに対しても最良の結果に収束するよう、難しい決断が迫られている。