【WSL】声明全文:マーガレットリバー・プロの中止について。

Photo: WSL / Sloane

Text: Junji Uchida

 

主会場のメインブレイク近くで2度のシャークアタックが発生したマーガレットリバー・プロについて、WSLは正式に中止にするという声明を発表した。WSL最高責任者、ソフィ・ゴールドシュミット氏の名前で掲載された内容を全文でお伝えしたい。

 

WSLは今日、マーガレットリバー・プロの未消化試合について開催を見送る決断を下しました。今季発生しているサメによる被害、それに対するサーファーの安全確保を考慮したうえでの、例外的な結論です。この意思決定は、さまざまな利害関係者や専門家たちと数時間にわたる議論を重ねて導きました。

WSLは安全性をいちばんに重視しています。それはただうわべだけの言葉ではなく、妥協することは許されません。サーフィンはさまざまなリスクを伴うスポーツです。そして、野生動物が試合会場に生息しているという点はひときわ独特なところです。ときにサメは、WSLの競技者たちにとって現実的な問題になります。サーフィンを取り巻く関係者は、そのことについて理解しています。すでに事故が発生し、再び発生する可能性もあります。これだけがキャンセルに至った原因ではありません。が、いまの状況は現実離れしており、問題を抱えるなかで今季のマーガレットプロを継続するリスクは、許容範囲を超えていると判断しました。

現地時間の4月16日、主会場のマーガレットリバー・メインブレイクから6kmほど離れたグレースタウンの近くで、2つのシャークアタックが発生しました。専門家は、この地域に生息するクジラの存在がサメを惹きつけ、その動きが活発になり、攻撃の可能性を高めていると分析しています。それが判明したことで、近隣の海岸ではサーフィンや遊泳を禁止する閉鎖措置を取っています。

私たちは、自然が我々に向けて投じてくることに対し、可能な限り対策を講じることを約束します。WSLは随時改善される強い安全性、インフラ整備や手順の監視、サポート体制の強化などを維持しており、アスリートを保護する能力に自信を持っています。しかし、現状の境界値は運営基準を超えていて、もし私たちがこのままコンテストを再開した結果、恐ろしい事象が起こることは許されません。

私たちはこの決定が、地元のコミュニティに商業的な打撃を与え、パートナーやファン、一部のアスリートたちを失望させていることを痛感しています。ほんとうに残念です。

私たちの競技は、今回のような流れでキャンセルされたイベントには、選手へのポイントは付与される構造になっています。ただ、今季の男子および女子の競技を完了できる手立てを諦めず、より見識を深めたうえで私たちの考えをお伝えします。

マーガレットリバーは素晴らしいパートナーがいる、特別な場所です。何年にもわたって思い出に残る瞬間が生み出されてきているこの地に、今後戻ってこない計画はいまのところありません。

この決定にすべての方々が同意していただけないでしょう。しかし、受け入れていただけるよう望みます。アスリートの安全確保は私たちの絶対的最優先事項です。地域のコミュニティ、そしてパートナーや、この決定を支えてくれたサーファーたちに深く感謝いたします。

ご理解いただき、ありがとうございます。

ソフィ・ゴールドシュミット
WSL 最高経営責任者