五十嵐カノアがUSオープンを連覇:ハンティントンが波を贈ってくれると信じてた!
Text: Junji Uchida
いや〜、やっぱカノア、持ってますね!
述べで50万人もの観客が押し寄せる世界最大のアクションスポーツの夏フェス、USオープン。昨年に続いて決勝に駒を進めた日本代表の五十嵐カノアは、WCTのツアールーキー、グリフィン・コラピントと対決。ハラハラ・ドキドキのシーソーゲームを見事に制し、2年連続で大舞台での頂点に! 勝利した瞬間のストークっぷりから、うれしさのハンパなさが伝わってきました。おめでとう!まずは以下のショートクリップをどうぞ。最初が8.17の逆転ライド。日本語インタビューもアリ!
■ファイナルのシーソーゲームを振り返り。
ディフェンディング・チャンプのカノアは、サーフボードのデッキにハンティントン地域の市外局番“SEVEN ONE FOUR”(714)とペイント。地元を大いに盛り上げます。一方のコラピントはサンクレメンテ・ローカルズの若きエース。クオーターファイナルで先輩のコロへ・アンディーノを破り、その意志を継いで決勝に進出。カリフォルニアのエリート対決ということで、ザ・サーフ・シティの夏フェスは最高のファイナル・ステージに。
波のサイズはムネカタ、セットで頭あるかないかといったところ。やや風が入っていて、波のフェイスも少しバンピー。ピークで波をつかんでワンアクション、その後マッシーになるセクションをつないでスピードをつけて、ショアブレイクで大技をかけてフィニッシュというのがブレイクのシナリオ。
ファーストライドはコラピント。テイクオフをすると、まず手始めにクリーンなオフザリップ。ラウンドハウス・カットバックからフェイド・ターンで加速すると、最後の見せ場でノーズピック・フルローテーション。見事にメイクし、いきなりエクセレントの8.00をスコア。さらに優先権がカノアに移るなか、インサイドでグーフィーの波をつかんで堅実なライド。5.83をマークし、その時点でのバックアップに。
が、カノアは落ち着いた様子。そして1本目の波をテイクオフ。空かさずオフザリップをキメるとラウンドハウスを1発、2発・・・。インサイドに向けてスピードをつけると、フィンアウトさせながらのランディングでフィニッシュ。7.60のパフォーマンスで大歓声を沸かせます。
しかし、その後しばらくは決め手となるライディングが出ないまま、時間だけが刻一刻と過ぎていくことに。残り10分の時点で、カノアが逆転するには6.24と、ローカルボーイにしたら決してハードルは高くない状態。
そして、いよいよシーソーゲームが始まります。
優先権を持っていたカノアは波をつかむと、緩慢なセクションの途中にできたコブに1発当て、続いて美しいアークを描きつつラウンドハウス。そして目一杯加速すると、1本目と同じくフィンアウトさせながらのランディングで6.93を叩き出し逆転に成功。ガッツポーズ&ギャラリーに歓声を求めるアピールで盛り上げます。
コラピントのニードスコアは6.53。そしてテイクオフからのリッピング&カットバックでつなぎ、十分スピードをつけたところでフローターからブロウテール・リバース。やはりガッツポーズ&雄叫びをあげたそのライドに7.00が付き、コロへをはじめとするサンクレメンテ・ローカルズが吠えまくります。
カノアの二ードスコアは7.41。プレッシャーをかけるべく、コラピントはインサイドで波をつかむもクローズしてしまいロースコア。
残り2分ちょいのところでセットが! 優先権を持つカノアに対し、コラピントはパドル合戦を仕掛けるも、そこはきっちりカノアがゲット。1発、2発とスナップを入れ、カットバックでつなげるとフルスロットル。そして、ここまで封印してたかの如くフルローテーション。テールを高くあげてノーズピックから着地すると、後ろ向きのままスープのなかで耐える・・・耐える・・・耐えた! 見事に波の前に抜け出てスーパー・ストーク!会場には割れんばかりの歓声が!
スコアが発表されないまま終了しようという間際に、コラピントがラストチャンスのテイクオフ。ホーンの鳴り響いたあとに、やはりフルローテートをメイクするも、本人にストーク感なし。
アウトでスコアが発表されるのを待つカノア。その表情には笑顔が浮かんでいて、勝利を確信している模様。待つ・・・待つ・・・ひたすら待つ・・・。
8.17!
するとカノア、ガッツポーズからの、自分のホッペタ叩きからの、目頭押さえからの、天を仰ぎからの、コラピントのラストライドが逆転に足りず、優勝が決まった瞬間のサーフボード&水面叩きまくり。ボードのSEVEN ONE FOURをアピールし、“HB! HB!”(HB=ハンティントンビーチ)コールを煽る姿に、オーディエンスはいつまでも惜しみない拍手を送り続けてました。
去年はぼくを大いに支えてきてくれた家族や友達のために優勝した。でも、今年はハンティントンビーチのみんながとっても応援してくれたから、すごく燃えたんだ。
最後のライディングはほとんど覚えてないけど、自分に何かが起こっていて、なんとしてでもランディングしようと必死だった。波のうえに立てたときには、スコアが出ることを確信してた。これまでで最高の感覚だよ。
コンテスト全体を通じて、ファイナルのことしか考えてなかった。コンテストのあいだ、自分のペースを保って、決勝にすべてを注いだ。ファイナルはすごくハードだったけど、ハンティントンが波を与えてくれると信じてたから、それに応えたんだ。
–五十嵐カノア
USオープンの2連覇は、やはりハンティントンビーチ・ローカルのブレット・シンプソンに続く史上2人目の快挙。ぜひ来年も優勝して、記録を塗り替えてほしいものです。