レギュラーフッターが不利? ベルズでのハイスコア理論。
Text: Junji Uchida
ミック・ファニングは最後のベルを鳴らすことができるのか。そこが最大の焦点になっている2018年のCT第2戦リップカールプロ・ベルズビーチ。引退にふさわしい最高のステージになるようグランドスウェルが届いて欲しいところだが、大会4日目はThe Day of The Bowlとはならず、男子のラウンド3の前半6ヒートだけが消化された。
ジョーディ・スミスやコロへ・アンディーノ、ジュリアン・ウィルソンらビッグネームが敗れる波乱万丈劇、さらに“持ってる”感満載のツアールーキー、グリフィン・コラピントも敗退。が、ヒート終了間際で見せたエアリアルは逆転するほどの得点にはならなかったものの、ひょっとしたらひっくり返るかものワクワクライドで、「やっぱ見せ場を作るなぁ」という印象を残した。
そして真打ちのミックは、セバスチャン・ジーツと対戦。地元の英雄の優秀の美を阻止するのは、なかなか勇気がいるはず。完全アウェイのマンオンマンで、全豪中からの「わかってるよな? なっ!」という圧がかかる英雄の花道で、ジーツが乗ったのは2本のみ。一方のミックは“フロウ・マスター”と連呼されるほどの、流麗さと力強さのあるサーフィンで危なげなくラウンドアップ。最高のシナリオにまた一歩近づいた。
レギュラーフッターはクリティカル過ぎると返せない。
昨日の投稿で新任のヘッドジャッジ、プリタモ・アーレント氏によるクライテリアへの説明を記載した。以下がその内容だ。
ジャッジ委員会は、もっとも急な角度の際どいセクションを追求したアプローチを評価するという、昨日のウインキーポップでのクライテリアを継続。また、インサイドのクローズアウトセクションでの際どい、あるいはダイナミックなターンについても考慮する。ベルズボウルでは、しっかりとレールが入ったスピーディでパワフルなターンを、いかにポケット際でできるか、その能力を求めていく
それについての説明を、解説者のポッツことマーティン・ポッターが超わかりやすく指南していたので紹介したい。題材となるライディングは、ラウンド3の第3ヒートでオーウェン・ライトがスコアした7.27ポイント。バックサイドのアプローチのヒントにもなること間違いなし!
映像をスクショし、ポッツの実況コメントを起筆したのでご覧ください。
“ファーストターンがもっとも重要なんだ”
最初の段階でどこにコンタクトするのか見極めることがリップを成功に導くんだ。
目線にそこに合わせながら見て、じっと見て、じっと見続けて……”
矢印のところに引っ掛けようと考える。フォアハンダーにとってはそのほうが自然。
ただ、その場所は際どいクリティカルポジションではないんだ”
ここがハイスコアを出せるクリティカル・パワー・ポジション。
フォアハンダーに、このアプローチは難しい”
タイトなポケットだからMAXのスコアを出せるんだ”
世界でもベストのサーファーだからこそできるクリティカル・マニューバーだ”
よりクリティカルな場所にアプローチしたあとは、バックサイドのほうが返しやすいということ。バックサイドのカットバックの流れのなかでトップでの切り返しのほうが、身体が岸に向いている=身体が返っている状態のため、自然にできることに近いのだろう。
Day2のイタロ・フェレイラの8.33ポイントもそうだし、Day4唯一のエクセレント、マット・ウィルキンソンのライドも同様。ポケットに向かってストレートアップし、エアードロップしながら次のマニューバーへとフローしていく。同じくブロウテールをグリフィン・コラピントがウィルキンソンとの第4ヒートの2本目でトライしているけど、身体が返っていない分フォアハンダーには厳しい動きであることは明快だ。ジョーディ・スミスの流麗な動きに対して点が低いのも、新しいクライテリアのもとでは正統派過ぎるという評価なのでしょう。
50年を超えるベルズ・コンテスト史の優勝者のなかで、グーフィーフッターはダミアン・ハードマン、バートン・リンチ、マーク・オクルーポ、マット・ウィルキンソンのわずか4名。レギュラーフッターが有利と見られていたコンテストは、一概にそうは言い切れない気配です。
◉オーウェンの7.27ライド(下記動画1:10あたりから)
⇒ポッツの解説はHeat Analizer(PC版)で確認できます(R3HT3)
◉ウィルキンソンの8.00ライド(下記動画2:40あたりから)
◉コラピントのアプローチ(下記動画2:10あたりから)