〈サーフランチ〉、エアー仕様に。
「すべての波がみんな違う」とジョシュ・カーも興奮。
Text: Marcus Sanders
割れ出してからしばらくのあいだは相変わらず完璧。だけどエンドセクションが、それはもう最高のエアーの発射台になった。メッチャ興奮したよ。向こう側からスープが迫ってくることで、チューブのなかにいる時間を競う以上に、ハイスコアが出るワザに挑めるようになった。
–ジョシュ・カー
ジョシュ・カーは今、サーフィン界においてユニークな立ち位置にいる。フリーサーフィンのような斬新なエアーをCTイベントで披露する先駆者として知られ、現在のエアリアルありきの戦いの扉を開いた円熟の34歳。その年齢でなぜ円熟かって? 先鋭的なサーフィンを彼よりも長く、しかもCTレベルでし続けたサーファーはいないからだ。
カーはWSLのエアリアルツアーの先陣になるとの噂がある。納得できる人選だ。そんな彼が最近、テキサスのウェーコにできたウェイブプール〈BSRサーフリゾート〉を体験したアルビー・レイヤーとともに〈サーフランチ〉に招待された。エンジニアを交えて、エアーセクションの開発・調整をするためだ。
「波を起こすフォイル(水中翼)をコントロールするだけでも、ありえないほどの可能性があったよ」とカー。「丸1日かけて、いろんなセッティングを試してみた。そのすべてが、全然違う波なんだ。試乗を終えたときはもう、1日じゅうサーフィンした日みたいにクタクタだった」
で、エアーセクションはどうだったのか?
「とくに追加するものは何もなかった」とカー。「ブレイクの終盤にかけて、フォイルの速度を落とすだけだった。割れ出してからしばらくは相変わらず完璧。だけどエンドセクションが、それはもう最高のエアーの発射台になった。メッチャ興奮したよ。向こう側からスープが迫ってくることで、チューブのなかにいる時間を競う以上に、ハイスコアが出るワザに挑めるようになった」
『サーフライン』のインスタにそのときの様子がポストされているのでご覧いただきたい。
ファウンダーズカップが開催された数ヶ月前、ぼくはカーに、ウェイブプールでのコンテストフォーマットで改善点がないか聞いた。彼は「フォーマットを変えるとともに、賞金も増やしたほうがいい。そうすれば、ただスコアを出す以上に“Go For It”するようになる。フィリッペ(トレド)のライドはヤバかったよね。他にもいくつかモダンなエアーもあった。だけど、ぼくは常に際どいエアーを見たいと思っている」
確かに新しいエアーセクションはその手助けになる。WSLもそうすべきだろう。
「テストをした日の終わりにかけて、調整したことによりいいエアーがメイクできた」とカー。「波が掘れてボウルになり、少しづつスープが崩れてくる。エアーを仕掛けてランディングするところには、ソフトに着地できるだけのホワイトウォーターができている」
何かと比較はできないか?「そうだな、グーフィーのエンドセクションは、西からの風波と南スウェルが混じったサザンカリフォルニアのような波。ピークからライドしていくと、向こうからウインドスウェルが向かって来る感じ。レギュラーはその逆バージョン」
比較するために以下の動画をご覧いただきたい。これは2016年に収録されたカーのライディングだ。ミドルセクションでアリーウープをメイクしているものの、エンドセクションではプルアウトを余儀なくされている。ちなみにカーは、このときの波をゴールドコーストのグリーンマウントのようだと語っている。
It’s not right, It’s not right from Kelly Slater Wave Co on Vimeo.
なんという時代にサーファーになったんだって思うよ。しかも、ぼくのやり方が人工波時代の幕開けの象徴ともいうべきウェイブプールの開発に反映されるんだからね。
–アルビー・レイヤー
アルビー・レイヤーも自らのインスタグラムで、カーの感想と同調することを投稿している。
「おとといジョシュ・カーと一緒に、プライベート・ジェットで完璧な人工波のある場所に行ったんだ。そこでエアーセクションの調整のためにぼくらのスキルを提供したんだ。ケリー・スレーターと、そこで働くクルーたちにフィードバックしたというわけ。波を起こすたびに少しずつ良くなるよう、変えていく作業さ。スタートしてから、セクションたちがどんどん良くなって行った。あり得ないよ。何千ものパターンをセッティングできるんだ。なんという時代にサーファーになったんだって思うよ。しかも、ぼくのやり方が人工波時代の幕開けの象徴ともいうべきウェイブプールの開発に反映されるんだからね。まるで、子供がみる突飛な夢の世界。でも、ぼくらはそこで生きているんだ」